アラキドン酸代謝系の開始酵素である細胞質ホスホリパーゼA_2(cPLA_2)と細胞骨格系タンパク質であるビメンチンとの結合部位をFar-Western法で検索した結果、cPLA_2のC2ドメインとビメンチンのヘッドドメインを介することが明らかとなった。そこで、構成的にcpLA_2とビメンチンを発現し、細胞内カルシウムイオン濃度上昇にともないプロスタグランジンE_2を産生する細胞株であるラット線維芽細胞3Y1にビメンチンのへッドドメインのみの部分に相当するcDNAを遺伝子導入し高発現細胞株を樹立した。本細胞株をカルシウムイオノフォアA23187で刺激しアラキドン酸代謝反応を解析した。その結果、ビメンチンヘッドドメイン高発現株は親株細胞と比較してアラキドン酸遊離反応ならびにプロスタグランジンE_2合成反応が顕著に減弱した。本現象はビメンチンへッドドメインによるdominant negative効果のためであると考えている。
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