MMTVプロモーター中に存在する50-bpを標識プローブとしてラット脾臓cDNAライブラリーに対してサウスウエスタンスクリーニングを行い、一つのポジティブクローンが得られた。この外来cDNAに相当する部分約1-kbの塩基配列を決定し、GeneBankデータベースからホモロジー検索を行ったところ、DNAヘリカーゼ様タンパク質Sμbp2がコードされていることが判明した。Sμbp2はマウスでは免疫グロブリンクラススイッチ領域に結合するタンパク質として、またハムスターではインスリンプロモーター中のエレメントに結合するものとしていずれもサウスウエスタンスクリーニングによりそのcDNAがクローニングされている。しかしながら、その生理的な役割については現在までに十分明らかにされていない。このタンパク質因子のDNA結合様式について検討するため、得られたcDNA領域pETベクターに組み込み、大腸菌を用いてTrx-Hisタグ融合タンパク質(Sμbp2のC末端約300アミノ酸を含む)を作製した。このレコンビナントタンパク質を用いてゲルシフトアッセイを行ったところ、MMTVプロモーター中の50-bp並びにACTGモチーフに対する塩基配列特異的な結合性が示された。さらにこの融合タンパク質に対するポリクローナル抗体を作製し、Sμbp2固相化アフィニティーカラムを用いて精製した。現在、この精製ポリクローナル抗体を用いてSμbp2タンパク質の発現をウエスタンブロット法により解析している。以上の結果については、第72回日本生化学会大会(1999年、横浜)にて発表しており、現在投稿準備中である。
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