昨年度までにMMTVプロモーター中に存在する50-bpの負の制御エレメントに結合するタンパク質としてSμbp-2をコードするcDNAが得られている。また、このcDNAをpETベクターに組み込むことによってTrx-Hisタグ融合タンパク質も作製されている。このSμbp-2融合タンパク質を用いてゲルシフトアッセイを行ったところMMTVプロモーター50-bp中のACTGモチーフを認識することが明かとなった。現在、Sμbp-2発現ベクターをMMTVプロモーターのレポータープラスミドと共にL929細胞に導入し、MMTV遺伝子の転写に及ぼす影響ついて検討しており、現在投稿準備中である。また、Sμbp-2のC末端領域に対する抗体もすでに調整されており、これがレコンビナントタンパク質および細胞抽出物中のSμbp-2タンパク質を認識することがウエスタンブロット法によって確かめられている。Sμbp-2はDNAヘリカーゼモチーフを持つ特殊な転写制御因子として機能する可能性がある。今後は抗Sμbp-2抗体を用いて転写制御に関わるタンパク質との相互作用を検討する予定である。また、Sμbp-2ノックアウトマウスを作製することによって実際のSμbp-2タンパク質の生理的な機能を解明する実験を東京理科大・水田博士との共同研究として進める予定である。
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