研究概要 |
ウサギ腎髄質ミクロソームにおけるアラキドン酸(AA)(60および5μM)からのプロスタグランジン(PG)およびアラキドノイル-CoA(AA-CoA)生合成に対するパルミチン酸(PA)およびパルミトイル-CoA(PA-CoA)の影響について検討した。PAは、基質の濃度にかかわらずAAからのPGおよびAA-CoA生合成に変化を与えなかった。パルミトイル-CoA(PA-CoA)は、基質が過剰な状況(60μMAA,病理的状態を反映する)ではAAからのPGおよびAA-CoA生合成に変化を与えなかったが、基質が過少な状態(5μMAA、生理的状況を反映する)ではPG生成量を減少し、AA-CoA生成量を増加した。この結果より、PAはCoAエステルの形になると、腎髄質におけるAAからのAA-CoAおよびPG生合成の内因性調節因子になり得ること、ならびに、その作用は基質が低濃度(生理的濃度)の場合に発揮されることが判明した。(Life Sci.66,1147-1153,2000)。 2.AAからのPGおよびAA-CoA生合成に対する、生体内に存在する各種飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸(PA,ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびエイコサペンタエン酸)、ならびにそれらのCoAエステルの影響について比較検討し、飽和脂肪酸はCoAエステルに変換されることでAAからのAA-CoAおよびPG生合成調節にかかわること、不飽和脂肪酸は遊離ならびにCoAエステルいずれの形においてもこの分岐点を調節するが、その作用はCoAエステルになるとより強力になることが明らかとなった。
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