研究概要 |
ビタミンD受容体遺伝子欠損マウス(VDRKOマウス)を用いてビタミンD代謝を検討するとともに、1a,25-D_3の選択的組織移行性について検討し、以下の結果を得た。 1)ビタミンD代謝におけるVDRの機能解析 ビタミンD代謝は、血中のカルシウム、PTH、カルシトニンや活性型ビタミンDのネットワークによって調節されている。しかし、活性型ビタミンD自身によるビタミンD代謝、特に活性化に必要とされる肝臓25位水酸化酵素、腎臓1α位水酸化酵素の発現調節におけるVDRの関与ついては明らかにされていない。そこで、VDRKOを用いてD代謝におけるVDRの機能を検討した結果、1)肝臓25位水酸化酵素CYP27の発現調節にVDRは関与しないこと、2)VDRKOの腎臓1a位水酸化酵素は血中Ca濃度やPTH濃度に影響されることなく常に高く発現し、VDRによる直接的な発現抑制の可能性があることを確認した。 2)1,25-D_3の選択的組織移行性 1,25-D_3の選択的組織移行性にVDRが関与するか否かを検討するため、^3H-1,25-D_3をVDRKOマウスあるいは正常マウスに静脈投与し、全身の組織分布を観察した。その結果、VDRを強く発現している小腸、腎臓への移行性は、Wildマウスに比べてVDRKOマウスで低く、一方、VDR発現が非常に低い肝臓への移行性においては両マウスに差は見られなかった。このことから、VDRは1,25-D_3の選択的組織移行性に関与する可能性が示唆された。
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