Steptomyces sp.MK251-43F3株が産生するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害物質は新規な化合物であり、スルフォスチンと命名した。 スルフォスチンはラット脾臓より部分精製したDPP-IVを強力に阻害した。スルフォスチンによる阻害は濃度に依存し、50%酵素阻害濃度(IC_<50>)は約30nMであった。7-アミノ4-メチルクマリンを蛍光プローブとする合成基質によるアッセイ系を構築し、酵素阻害機構の解明を試みた。スルフォスチンは反応時間に伴いDPP-IV活性を減衰した。また、DPP-IV反応速度も反応時間に伴い減衰した。これらの知見により、スルフォスチンは不可逆的にDPP-IVを阻害することが示唆された。更に明細な阻害機構を検討している。 スルフォスチンの立体構造を決定するために、Steptomyces sp.MK251-43F3株を液体培養した。精製過程においてスルフォスチンは立体異性化する可能性が示唆されたため、緩和な精製を試みた。2〜3Lずつ27回培養し、濾過して菌体を除去した。DPP-IV阻害活性を含む培養濾液は個別に活性炭で処理、エタノ一ルそしてメタノール沈殿させた後、結晶性セルロース・カフムクロマトグラフィーによって緩和に精製した。活性炭未吸着画分101.4L(乾燥重量約200kg)からDPP-IV阻害活性を含む画分約25gを得ており、純粋なスルフォスチンとして5mgを見込んでいる。 また、当研究所の阿部・村岡らがスルフォスチンを含む4種の立体異性体の合成に成功した。生物学的評価のため、これらの化合物を合成している。
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