研究概要 |
本研究は生体機能探索分子をデザイン・合成し、イノシトール3リン酸(IP_3)受容体をレーザー分子不活化(CALI,Chromophore-assisted Laser Inactivation)することで、生きた状態での作用の解明を目的とする。方法としては、IP_3受容体に特異的に結合し、レーザー照射によりIP_3受容体の機能を瞬時にノックアウトする化合物を作成・応用する。この作成分子を用いて時間・場所を精密に制御した機能阻害を行い、生理学的条件下でのIP_3受容体の作用解析が可能となる。 本年度は作成したCALI用IP_3類縁体を用いて生物における機能研究を行った。 まず、作成した分子のIP_3受容体への親和性を調べた。IP_3受容体タンパクは、IP_3結合部位のプラスミドを用いて大腸菌を用いて発現させ作成した。作成したIP_3受容体を用い、表面プラスモン共鳴によって結合能を評価した。この結果、作成したマラカイトグリーンIP_3はK_d値が1nMと、現存する結合リガンドの中で最強であることがわかった。また、同様に作成したフルオレッセインIP_3もIP_3と同程度の強い親和性を示した(K_d200nM)。 次に、単離組織としてモルモット平滑筋スキンドファイバーを用いて、IP_3類縁体のIP_3受容体からのCa^<2+>放出能を調べた。この結果、前述の量化合物ともIP_3に比べ弱いアゴニストであることが確認された。
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