研究概要 |
抗アレルギー薬であるアゼラスチンはヒトにおいて主にN-脱メチル化を受けてデスメチルアゼラスチンへと代謝される。これまでに、このN-脱メチル化反応には CYP3A4,CYP2D6,CYP1A2が関与することを明らかにしている。本研究では、発現系ミクロソームとヒト肝ミクロソームにおけるP450各分子種の特異的酵素活性の比(Relative Activity Factor,RAF)を用いてアゼラスチンN-脱メチル化に関与する分子種の寄与率を算出した。バキュロウイルス感染昆虫細胞発現系ミクロソームは各ロットによってNADPH-P450還元酵素活性やチトクロムb_5含量が異なるため、その発現量が寄与率の定量的予測に影響を及ぼすか検討するため、各3つのロットで比較した。また、指標とする特異的酵素活性の違いが定量的寄与率算出に影響しないか検討するため、CYP1A2はエトキシレゾルフィンO-脱エチル化酵素活性とフェナセチンO-脱エチル化酵素活性、CYP2D6はブフラロール1'-水酸化酵素活性とデブリソキン4-水酸化酵素活性、CYP3A4はテストステロン6β-水酸化酵素活性とミダゾラム1'-水酸化酵素活性を指標とした。その結果、発現系ミクロソームのロットおよび指標活性を変更しても定量的予測結果は一致したため、RAFによりP450各分子種の寄与率を定量的に予測できることが明らかになった。ヒト肝ミクロソームにおけるアゼラスチンN-脱メチル化反応に対し、CYP3A4の寄与率が最も大きく、ついでCYP2D6、CYP1A2が触媒することを明らかにした。
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