研究概要 |
1、これまで、肝細胞への選択的な遺伝子導入を実現させるため、塩基性α-ヘリックスペプチドを数個のガラクトース基で修飾し、その有効性を培養細胞レベルで明らかにした。しかし、そのガラクトース修飾ペプチドの合成法は液相中で行っていたため、煩雑でかつ収率の低い問題点があった。そこで、本年度ではペプチドを固相担体上で伸長し、その後、直ちにガラクトース修飾することを目的として、いくつかのガラクトース誘導体(アセチル化ガラクトースを担持する乳酸)の合成を行った。本誘導体を用いることにより迅速にかつ簡便に目的とする糖修飾ペプチドが得られることがわかった。今後は培養細胞および動物を対象に本ガラクトース修飾ペプチドの肝細胞選択的遺伝子導入能を評価する予定である。 2、細胞内への遺伝子キャリアーとしてアミノ酸であるリジンから構成されるデンドリマー分子が利用可能であることを昨年見いだし、その肝細胞へのデリバリーの新たなキャリアー基材として期待できる。本研究ではそのデンドリマー分子自身の遺伝子導入能を明らかにするために、様々な世代のデンドリマーを合成した。その結果、CHO(ハムスター卵巣),HeLa(ヒト子宮),HuH-7(ヒト肝臓),COS-7(サル腎臓)といった様々な培養細胞に対して血清存在下でも高い遺伝子導入能を示し、また、殆ど細胞毒性が無いことが明らかになった。今後、本デンドリマー分子を前項のガラクトース誘導体で修飾し、肝細胞への遺伝子デリバリー効率について動物実験を中心に評価する予定である。
|