マウスのD2受容体の分布をRT-PCRでKnockout miceとwild type miceの間で比較したところ、wild type miceでは、脳、心臓、大動脈、腎臓に発現していることがわかった。D2受容体の遺伝子の欠失したマウスでは収縮期血圧が10mmHgほど低下していた。この血圧の変化は全身の交感神経活性、レニンアンジオテンシン活性、腎Na排泄の差からは説明ができなかった。このマウスに4%の食塩を摂取させたところ、血圧の上昇が見られ、同時に尿中Naの排泄の抑制がみられたので、D2受容体は、腎臓からのNaの排泄に関わっており、この機能が障害されると食塩感受性の血圧上昇をきたすことが察せられた。このNa排泄の抑制にかかわるメカニズムが直接D2受容体と関係するのか、交感神経節前繊維に存在するD2受容体のカテコラミン放出抑制作用を介するものかの検討をおこなった。腎臓のカテコラミン含量は、knockout miceで低下しており、節前線維のD2受容体が交感神経活性に影響を与える因子であることを示唆する結果であった。 D2受容体が血圧調節におよぼすメカニズムにつき今後も検討を要する。
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