リンパ系腫瘍、リンパ腫、急性リンパ性白血病について腫瘍特異的polymerase chain reaction(PCR)を用いて微少残存病変(minimal residual disease:MRD)を検討した。 1)B細胞性腫瘍 悪性リンパ腫 生検リンパ節より腫瘍細胞のDNAを用い、多様性のある免疫グロブリンCDR-III region部分のシークエンスを行った。総検体数38例、そのうち免疫グロブリン重鎖再構成をサザンブロットで認め、DNA配列解読可能検体は17例であた。17例中、特異的PCRプライマーによるMRD検討が可能な検体数は16例であった。 16例中、10例に関して初発時、治療前の骨髄、末梢血にて微少残存病変の検討を行ったところ、骨髄検体にてPCR陽性例7/10例、末梢血にて陽性例4/10例であった。そのうち、骨髄でPCR陰性で末梢血にて陽性だった例が1/4例であった。10例に関しては、現在治療後の検体において検討中である。 末梢血幹細胞移植例が2例あり、2例とも末梢血幹細胞検体にて特異的PCR陽性であった。 PCR感度は特異プライマーにより異なり、10^<-3>から10^<-5>であった。 急性白血病 同上の方法でシークエンスを行った。検体数は1例。 2)T細胞性腫瘍 悪性リンパ腫 4例において同様DNAを用い多様性のあるT細胞レセプター部分のシークエンスを行った。4例とも特異配列が4-5塩基と短く特異プライマー作製は困難であった。 急性白血病 2例において行ったが、リンパ腫と同様の結果であった。
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