目的:熟練保健婦による精神分裂病患者への初回受診の援助内容を質的に分析し、支援過程に用いられる相談技術を抽出することを目的とする。方法:熟練保健婦21名23事例を対象に、(1)事例の概要(2)相談の持ち込まれ方(3)初回相談時の場面(4)2回目からの受診につなげるまでの場面(5)初回受診の場合(6)事例の転帰(7)受診にむすびつく上で工夫したことを半構成的面接による調査を実施。インタビュー内容を帰納的因子探索的分析を行い、ラベル化、カテゴリー化しながら分析した。結果:1.援助の類型は、(1)事例へ直接援助、(2)家族へ援助 A;知識・方法論の提供、(3)家族へ援助 B;知識・方法論の提供+同行受診、(4)家族の相談体制整備のための援助に大別できた。2.(1)「精神分裂病患者の受診につなげる相談技術」の局面は【場面づくり】【信頼関係構築の場面】【受診決意の場面】の3つであった。(2)局面ごとの相談技術を抽出すると(1)【場面づくり】では《保健婦の存在・役割をアピールする》《信頼関係の基盤をつくる》《相談関係を継続する》を実施していた。(2)【信頼関係構築の場面】では患者との信頼関係獲得のための技術として、本人に対しては《保健婦が心配している気持ちを伝える》《身体面の「辛さ」を引き出す》《共感する》《解決にむけて一緒に動く》や、《本人の「気がかり」「困り事」の解決にむけて一緒に動く》があげられた。また、家族に対しては《状況を客観的に説明する》《緊急性の有無を見極める》《見通しを提示する》必要に応じて《受診にむけて一緒に動く》があげられた。(3)【受診決意の場面】では受診行動につなげる技術として《受診の必要性を伝える》《信頼のおける医療機関・医師を紹介する》《自尊心を大事にした受診勧奨をする》《受診について納得のいく説明をする》《本人の意志決定を尊重する》《受診の決断を後押しする》があげられた。今後の研究計画:2年次に継続して事例数を増やし最終的なまとめとする。
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