研究概要 |
【目的】積雪地域の高齢者へ年間を通じた適切な地域参加支援のあり方を明らかにすることを目的に、目標として(1)積雪地域における高齢者の地域参加の実態とニーズを明らかにする、(2)地域参加型事業(以下、事業)を高齢者と共に企画運営する方策を探る、(3)事業の効果測定の視点と効果的な展開方法を明らかにすることをめざした。 【方法】積雪の多い1町の保健婦、社会福祉協議会職員、研究者らでプロジェクトチームを組み、事業の意義と展開方法を協議し、一新興住宅地を対象地域とした。地域のボランティア希望者と同様の協議を重ね1999年7月から月1回の事業を開始した。参加高齢者は保健婦からの紹介と募集広告による申込者であった。訪問面接調査により、地域参加状況(外出頻度、友人宅往来)を把握した。毎月の事業時に面接で地域参加状況を把握し、同年12月に「参加して良かったこと」を調査した。 【結果】(1)参加者の地域参加の実態:参加登録者は、計26人(男7人,平均74.9±5.0歳)であった。7月には88%が毎日外出しており、友人宅往来ありは55.6%であった。12月には毎日外出する者は23.1%、友人宅往来は17%だった。(2)高齢者との企画運営共有:初回時に関係者全員で事業のあり方を協議し、参加者から多数のプログラム案が出され、後の事業に生かされた。(3)参加して良かったこと:「笑いの増加」90.5%、「身だしなみに気を使う」85.7%、「生活の張りの増加」85.7%、「地域への親しみ増加」81%、「食欲増進」81%であった。 【考察】事業に高齢者の希望を取り入れることを試み、半年後には参加場面での効果が多くの者にみられたが、積雪期の地域参加を維持するには至っていないことから、事業の継続と長期的な評価、より緊密な地域参加型事業の必要性が示唆された。
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