清潔行為は皮膚体表面の機能を保ち新陳代謝を高め、心理的な爽快感をもたらし肯定的価値観に影響を与える身体心理社会的な影響を与える重要な看護行為である。冬季は皮膚の乾燥が著しく落屑、皮膚のあれがめだつ。清拭用具・清拭剤・清拭方法の違いの影響を測定する第1段階として、今回は健康な女性を対象に、タオルを使用しての、清拭と部分浴後の清拭とで皮膚の状態を肌水分計とビデオマイクロスコープにより比較した。 対象者は皮膚炎のない健康な20歳の女性。左右の上腕・下腿の毛の少ない部分で測定。片方をタオルで石鹸清拭、もう一方は5分間の部分浴後タオルで石鹸清拭を実施し、どちらもその後乾燥したタオルでこすらずに水分をふき取った。実施前、実施直後、30分後に肌水分測定、実施前、実施後にマイクロスコープ観察を行った。 その結果、腕では、清拭・部分浴ともに、実施後は水分量が増えていた。部分浴では30分後には水分量の減少がみられた。足では、清拭を実施後30分に、清拭実施直後からの水分減少がみられた。また、清潔行為実施前との差を比較すると、清拭と部分浴とで足の30分後に差があり、清拭ではほぼ元の水分量に戻っていたが、部分浴は水分が実施前より多い状態だった。 マイクロスコープ観察では、5分間の部分浴後は、毛細血管の拡張がみられた。今回の被験者は全員、実施前に平坦な皮丘とかさついた皮溝・きめの粗さがみられたが、実施後にはかさつきは軽減していた。毎日の清潔習慣が皮膚に大きなダメージを与えていることがわかった。 本年度はタオルでの清拭と、部分浴後の清拭を比較した。部分浴は皮膚への水分の浸透、血流の増強作用があることが確かめられた。毎日の清拭用具・清拭方法が皮膚に大きな影響を与えることがわかった。
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