本研究の目的は、糖尿病の患者教育にメンタルヘルスケアからアプローチするために、糖尿病患者の認知する心理社会的ストレッサーが、6ヶ月後及び1年後の血糖コントロールに及ぼす影響について縦断的に調査することである。 本年度は、ストレス認知に関する調査をインタビューと質問紙を用いて行うための調査項目の抽出を中心に行った。文献を検討し、ライフイベントとデイリーハッスルズからの一般的なストレッサーを測定するための項目を抽出した。それらに、コーピング尺度と、糖尿病の療養に関する困難に関する質問項目を加え調査用紙を作成した。作成した調査用紙を用いて、K病院の外来患者60人(平均年齢60.5±10.8歳)を対象に、ベースライン調査を行った。さらに、診療録を用いて血糖コントロールや合併症などの身体状態のアセスメントを行った。結果は以下である。(1)糖尿病の療養に関する困難は「食事療法に関すること」がもっとも多かった。(2)コーピングのプロフィールは一般成人と同じパターンを示した。(3)血糖コントロールと、ストレス認知の項目との間に有意な関連はなかった。 今後の課題は、6ヶ月後、1年後の継続して調査を行い、縦断的に分析することである。
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