妊娠中の自動車運転が妊娠経過に及ぼす影響を明らかにするために、平成11年度に以下の研究A・Bを行い、妊婦指導に有用な基礎的情報を集積することができた。 【研究A】携帯用分娩監視装置使用による運転中の子宮収縮・胎児心拍動・胎動の連続モニタリング並びに自動血圧計使用による運転前後の母体血圧・脈拍測定を実施した。 研究対象:町立内海病院(香川県小豆郡)において妊娠管理中の妊婦29名(通算49名) 【研究B】独自に作成した質問紙を使用して、(1)地域(都市部・都市部郊外・島部)による妊婦の自動車運転の実態の比較、(2)運転席・助手席乗車時の比較、(3)ドライバーとノンドライバー(妊娠中に運転しなかった者)の比較、(4)妊婦の自動車運転に対する意見・要望の把握、を実施した。 研究対象:都市部NTT西日本大阪病院(大阪市天王寺区)288名 大阪厚生年金病院(大阪市福島区)現在調査中 都市部郊外医療法人定生谷口病院(大阪府泉佐野市)790名 島部町立内海病院(香川県小豆郡)180名 研究A・B双方の中間結果によると、子宮収縮に及ぼす影響については、「子宮筋活動が亢進した状態では自動車運転によって子宮筋活動がアクチベートされるが、運転後の休息によって速やかに回復する。また、子宮筋活動が静穏な状態では運転による子宮筋活動への影響は全くない。」ことが強く示唆された。次年度はデータ集計・分析を行い、妊婦指導を行う助産婦をはじめとする医療従事者が活用できる報告書を作成する計画である。
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