効果的な口腔ケアを明らかにするため(1)溶剤は水を用いて電動ブラシ・歯ブラシ・スポンジブラシの3種類の用具の比較と(2)用具は電動ブラシを用いて水・液体歯磨き・イソジンの3種類の溶剤の比較を行なった。前年度に菌種を調べたが明確な差がみられず、今年度は一指標としてP.gingivalis、B.forsythus等の酵素に反応するペリオチェックを用いた。寝たきりで自力で口腔ケアができない気管切開や胃瘻・胃チューブのある患者を対象とし、実施前に容体が不安定な場合は実施を中止した。同一事例の長期追跡のため療養型病床群の患者4事例に1週間毎に実施および測定をした。口腔ケア実施時間は10分前後とした。残歯ありが2名、無しが2名であった。舌上、頬の裏側、口蓋の3個所を滅菌綿棒をケア実施の前後に一回転し採取した。特記すべき結果として、どの器具および溶剤を用いても必ず舌上の部位が強陽性に判定された1名があり、通常の口腔ケア以上の対策が必要であることが示唆された。そのほかは実施前後ともに陽性となり口腔ケアの効果判定には至らなかった。そして、イソジンを用いても水と比べて反応が陰性になることはなかった。今後も他の指標を用いて口腔ケアの評価法の検討が必要だが、その他の指標としてデントカルトがある。これはは唾液採取のためパラフィンを数分かませる過程が必要で意識障害患者には不可能である。これはlactobacillusの存在を明らかにするもので4日間の培養が必要だが、実際のコロニー数がわかるので唾液の確保可能な患者には評価測定にも用いられうると考える。継続して同一患者に適応し本研究との比較を行ないたい。また前年度より本年度研究を依頼した施設の方が丁寧に普段の口腔ケアを実施していた。このような要素も評価に影響を与えることが予測されるため、幾つかの施設の患者を対象として施設間の比較を行ない検討する予定である。
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