研究概要 |
1.研究の目的と本年度の課題 本研究は研究補助金の交付期間(2ヵ年)のうち,初年度(昨年度)では,スケートブレードに作用する3分力が計測できるセンサー内蔵スラップスケートを開発し,一流競技者のスラップ滑走動作を3次元画像分析法により解析した. さらに最終年度となる本年度は,以下に示す研究課題を設定した. ○研究課題:スラップ滑走と従来の滑走動作をKinetics的に比較 オリンピック出場レベルにある一流スケート選手5名に本研究で開発したセンサー内蔵スラップスケートを履かせて滑走させ,スケーターの滑走動作を高速度VTRカメラを用いて撮影し,パンニングDLT法を用いて3次元関節トルク・トルクパワーなどを解析し,合理的なスラップ滑走技術について明らかにする. 2.得られた知見 ・ スラップ滑走では股関節角度および角速度が小さく,下腿の内傾角度が大きい. ・ スラップ滑走ではストローク後半における股関節内転トルクによる負のパワーが大きく,股関節伸展トルクによる正のパワーが小さい. 3.今後の発展 スラップの使用に伴い,先行研究で報告されている足関節底屈運動による正のパワー増大は本研究ではみらなかったことから,スラップスケートの利点として,下肢の発揮パワーの増加という要因のほかに,ブレードが氷を破壊するときの損失エネルギーの消失,すなわち氷へのエネルギー伝達効率の向上の可能性についてさらに研究を進める必要がある.
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