W杯サッカーを開催する上での実施面の中心的なアクターであるJAWOC(2002年FIFAワールドカップ日本組織委員会)に焦点を絞り、インターネット情報等を中心にこの組織の構造、スタッフ構成、予算、権限などについて整理した。 また、開催自治体におけるスタジアム建設などの準備状況、ボランタリー団体の動き、開催自治体間やJAWOC・自治体間の連絡体制、スポンサー企業の取り組みなどについても情報収集を行った。 こうした検討作業から明らかになった課題としては、例えば、(1)大会開催の実施過程においてもFIFA(国際サッカー連盟)の規定内容が浸透しており、そのことがJAWOCの裁量的な行為を狭めていること、(2)韓国の組織委員会とJAWOCとの協力・協同関係が急速な高まりをみせている一方で、両国の制度、習慣、文化等の差異から生じる認識ギャップを埋めるための調製がますます必要となっていること、(3)国内においては開催地レベルにおいてもJAWOCが支部を設立することで、開催自治体との関係では主導権を有していること、(4)実質的にはスポンサー企業の活動が先行する形で関連諸アクターのネットワークが形成されていること、などが挙げられる。 研究発表としては、本研究課題の視点の基礎を形成するものとして、地方分権に関わる諸課題を総体的に考察し、さらに、スポーツ行政をめぐる分権とスポーツ振興に関わる地方レベルでの意識調査研究を行った。
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