研究概要 |
卵巣摘出(OVX)ラットにおいて、骨吸収を抑制するエチドロネート剤(EHDP)の投与(5回/週,5mg/kg,2週間:E群)およびそれに続く走運動(5回/週,60分/日,30m/min,10週間:Tr群)が骨梁構造並びに骨内の各細胞数に及ぼす影響を検討した。Wistar系雌性ラットの卵巣摘出、もしくは偽手術(Sham)を15週齢時に行い、(1)OVX群、(2)OVX+E群、(3)OVX+Tr群、(4)OVX+E+Tr群、(5)Sham群の5グループに分けた。28週齢時に脛骨を採取し、骨梁骨面積、および破骨細胞数、骨芽細胞数を測定した。 脛骨近位端の骨梁分布を光学顕微鏡にて観察したところ、OVX群では顕著な骨梁の消失がみられた。しかしながら、EHDPを投与した群では骨梁が一定の幅で極めて密に構築している領域が存在した。EHDPのみを処方したラットでは骨梁が密に残存している領域と成長板との間の骨梁骨が多く消失していたが、EHDPおよび走運動の両方を処方したラットではその間の骨梁骨は残存していた。骨梁骨面積(%)を各群比較したところ、OVX群はSham群と比較して約54%有意に低い値(p<0.0001)を示した。またEHDPもしくは走運動を処方したいずれの群においても骨梁骨面積はOVX群よりも有意に高く(p<0.0001)、Sham群と同等のレベルを維持した。さらに、OVX+E+Tr群ではOVX+Tr群よりも14%有意に高い値(p<0.05)を示した。二元配置分散分析を行った結果、EHDP及び走運動は骨梁骨面積維持に正の影響を及ぼし、また交互作用があることが認められた。さらに、OVX群と比較して、破骨細胞数はE群で有意に低い値(p<0.05)、骨芽細胞数はTr群で有意に高い値(p<0.05)を示した。 以上の結果より、2週間のEHDP投与とそれに続く10週間の走運動は卵巣摘出ラットの脛骨骨梁骨の維持に有効であり、両因子が骨梁構造の崩壊防止に相乗的効果をもたらすことが示唆された。
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