本研究では、5歳から16歳までの障害のある子ども9名とない子ども9名が、月に2回の割合で定期的に身体表現活動を行った。毎回の活動では、子どもたちの様子をVTRに収録したり感想を収集し、それらを題材に子どもたちの身体的・心理的な発達を継続して検討した。加えて、障害のある子どもとない子どもが即興表現を行う機会を実験的に設定し、その際の映像をモーションアナライザーを使用して分析したり、活動中に考えたことや感じたことの記述を一定のカテゴリーによって分類・整理した。 結果として、個々の子どもたち、特に障害のある子どもの上肢の動きや、車いすを操作する動きが著しく発達する可能性が示唆された。また、全般的には、身体的な差異の大きい他者と共に表現することで、他者の動きや表現を受動しようとする意識が強化され、そこから子どもたち同士の身体が一体化するような感覚が生じていることが明らかとなった。さらに、このような間身体的な感覚を通して、間主観的な相互理解が築かれることが示唆された。 また、子どもたちの変化ばかりではなく、参加するボランティアスタッフや家族の障害に対する考え方が大きく変化した。それを基盤に、子どもたちの活動を支える新しいネットワークのあり方を、積極的に模索する姿勢が築かれていった。
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