研究概要 |
研究対象地域(5万分の1「長岡」図幅)全域について,縮尺2万分の1空中写真の判読により,活構造詳細図(縮尺2.5万分の1)を作成した.この作業により,従来報告されていなかったごく新期の断層変位地形を数カ所で認定した.この判読図を基に,現地での約2週間の地形・地質調査を行い,活断層露頭や堆積物の撓み・急傾斜を多くの地点で確認した.また地形面の対比・編年のために,段丘礫層やそれを覆うローム層の観察・記載を進めると同時に,次年度に行う予定の地形断面測量の測線の設定を行った.室内においては,前年度に収集したガス抗井資料や反射法地震探査断面の解析を進めた.特に抗井資料が豊富な藤川-雲出地域・片貝地域については,抗井間の地層を詳細に対比し東西方向の地質断面図を数本作成することによって地層の変形構造を明らかにした.また長岡平野全域をカバーする地震探査断面を相互に対比することにより,広域的な地下地質のマッピングを進めている.このような信濃川中流域における調査と並行して,逆断層の地震危険度をより正確・簡便に評価する手法の確立を目的とした調査を試みた.調査対象地域には石川県邑知潟平野南縁断層(石動山断層)を選定し,最近開発された地層抜き取り装置を用いて地下地質試料を採取した.この調査によって,沖積層が地表の撓曲崖と調和的に変形しており,石動山断層の平均変位速度が従来地形学的に求められていた速度よりも2倍以上大きいことを明らかにした.この調査結果については現在学術誌に印刷中である.
|