研究概要 |
研究対象地域(5万分の1「長岡」図幅)の活構造を,以下に記すような室内作業および野外調査により解析した.まず縮尺2万分の1および1万分の1空中写真の判読により,活構造詳細図(縮尺2.5万分の1)を作成した.この作業により,従来報告されていなかった断層変位地形を数カ所で認定した.成果の一部は,国土地理院発行都市圏活断層図「長岡」図幅として,2001年度に公表する予定である.この判読図を基に,現地で約40日間の地形・地質調査を行った.活断層露頭や堆積物の撓み・急傾斜を多くの地点で確認した.また地形面の対比・編年のために,段丘礫層やそれを覆うローム層の観察・記載を進めた.また地形面の変形様式・量を正確に見積もるために,約30本の地形断面測量を行った.地下地質に関しては,室内においてガス坑井資料や反射法地震探査断面の解析を進めた.特に坑井資料が豊富な藤川-雲出地域・片貝地域については,坑井間の地層を詳細に対比し東西方向の地質断面図を作成することによって地層の変形構造を明らかにした.また長岡平野全域をカバーする地震探査断面を相互に対比することにより,広域的な地下地質のマッピングを進めた.これらの成果は,地球惑星科学関連学会2001年度合同大会において発表する予定である.このような信濃川中流域における調査と並行して,逆断層の地震危険度をより正確・簡便に評価する手法の確立を目的とした調査を,石川県邑知潟平野南縁断層(石動山断層)を対象に実施した.地層抜き取り装置を用いて地下地質試料を採取し,地層の対比や年代測定結果に基づいて,石動山断層の平均変位速度が従来地形学的に求められていた速度よりも2倍以上大きいことを明らかにした.この調査結果については「活断層研究」に公表した.
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