研究概要 |
この研究は,テラフが良く保存されている泥炭層で小規模な噴火を読み取ると共に,Wiggle Matching法を用いて噴火年代の高精度決定をめざしている.泥炭層中には,乾陸上では削剥される薄い噴火堆積物も保存されることが期待できる.しかし,再堆積によって噴火堆積物を過剰に見積る可能性もあるので,露頭での産状および複数のボーリング・コアの比較による考慮が必要である. 本年度は,現地調査を南九州の肝属平野,中部地方の白山火山で実施して,良好な泥炭試料が得られた.どちらも^<14>C年代測定を含めた分析作業が現在進行中である.特に,泥炭試料を細かく区分して,最適試料の選別を検討している.また,分析作業の効率化をはかるため,その改善も行っているがこれまでのところ十分な成果は得られていない.肝属平野では桜島および霧島の両火山起源のテフラの層序関係が確認でき,白山では南九州の鬼界カルデラから噴出したアカホヤ火山灰を確認した.これらの事実の認識によって,より精密な年代推定が可能になることが期待できる.さらに来年度は北海道の大雪山旭岳において泥炭層を調査する予定であり,そのための準備作業も行っている.来年度は,上記の2地点と共にこれらの結果をとりまとめる予定である.また,泥炭試料との比較のために,中九州の由布岳中部地方の焼岳,東北の北八甲田火山で土壌試料を用いた^<14>C年代測定も実施し,それぞれの火山の完新世噴火史を明らかにしている.
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