解凍後の食味、テクスチャーが良い冷凍卵豆腐(タンパク質ゲル状食品)を作ることを目的とした。前年度おこなった糖・塩類の添加および冷凍条件の検討に引き続き、今年度は解凍条件についても検討した。糖無添加、5%トレハロース、5%スクロース添加した卵豆腐を作成し、これを食品高圧処理装置(神戸製鋼所製、Dr.Chef)を用いて、-20℃、0.1〜686MPaで90分間冷凍した後圧力解除し、30℃で1日保存、または大気圧下のフリーザー中で-20℃、-30℃、-80℃で冷凍し1日保存した。これらの冷凍卵豆腐を、20℃で自然解凍、あるいは200MPa高圧力下で解凍した。さらに、冷凍中の試料中心温度を測定し、-20℃で高圧処理中に凍結していたものは、高圧冷凍後圧力解除せずに20℃まで解凍した。これらの物性をクリーフメータ(山電製)で破断強度解析し、未処理と比較した。 圧力移動凍結(-20℃、200〜600MPaで加圧時は凍結せず圧力解除時に急速凍結)した卵豆腐は未処理に近い比較的良好な物性が保たれていた。冷凍条件の同じ卵豆腐について解凍方法による物性の差異を検討すると、糖無添加ゲルでは200MPaの高圧力下で解凍することでより未処理に近い状態を保つことが出来た。すなわち、糖無添加であっても200〜600MPaで冷凍し200MPaで解凍することにより、冷凍傷害はかなり軽減される。100MPa、686MPaで高圧冷凍後、圧力を保持したまま解凍すると200MPaで解凍するよりもさらに物性の変化が少なくなった。しかし、この場合は冷凍保存期間か短い為であるとも考えられる。また、5%糖添加ゲルでは、フリーザー中や100、600、686MPa高圧力下での冷凍のように冷凍傷害が大きな場合では大気圧下よりも200MPaで解凍したほうが良好であったが、200〜500MPaで冷凍したものは解凍方法による差はあまりみられず、どの解凍方法でも良好であった。解凍後の離漿量は、100、600、686MPaで冷凍したものでは高圧解凍することにより押さえられたが、200-500MPaでは解凍方法による差はなかった。
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