さつまいも葉粉末の機能性と利用性を検討し、以下の結果を得た。 1.さつまいも葉中の一般成分、食物繊維と水溶性多糖の構成糖 さつまいも葉(黄金千貫)の一般成分は、水分87.1%、たんぱく質3.80%、脂質0.33%、糖質0.95%、灰分1.88%、食物繊維5.94%であった。食物繊維の内訳は、総食物繊維に対して水溶性食物繊維14.8%、不溶性食物繊維85.2%であった。さつまいも葉の粘性物質と考えられる水溶性多糖の成分は、糖質62.3%、たんぱく質23.5%、灰分10.5%、ポリフェノール3.7%であり、糖とたんぱく質は高分子内に結合した状態で存在していることが示唆された。さらに、水溶性多糖の糖の構成としては、ガラクチュロン酸27.8%、中性糖25.7%(キシロース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、マンノース、フコース、ラムノース)であった。 2.食パンの品質、物性および食味特性に及ぼすさつまいも葉粉末添加の影響 ファリノグラムから、混ねつによるパン生地の安定性は、さつまいも葉を添加するとやや低下することが認められた。しかし、パン生地の膨倍率、パンの比容積、パンの破断特性値とも無添加、さつまいも葉添加、モロヘイヤ添加間に顕著な差はみられなかった。また、パン内相部の水分含量はいずれも約44%であった。内相部の色調は、さつまいも葉添加はモロヘイヤ添加に比べ、Lおよびa値が低く、b値が高かった。分析型官能評価では、さつまいも葉添加はモロヘイヤ添加に比べ、色のさえがあり、緑色が濃いと評価されたが、香り、テクスチャー、味に関する項目では有意な差は認められなかった。また、さつまいも葉添加パンの糊化度は、無添加と同程度の約65%を示し、保存による老化も無添加と同様の傾向であった。
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