研究概要 |
キノコ料理の試料として、マイタケ(Grifola frondosa)に関する研究から機能性として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害活性を有する13残基のペプチド(Lys-Tyr-Thr-Phe-Ala-Val-Thr-Thr-Val-Lys-Thr-Trp-Val)を単離、報告したが、このペプチドの実際の機能性発現時での消化・吸収について調べた。その結果、このペプチドの各種消化酵素(ペプシン,トリプシン等)による分解生成ペプチドでは、3〜6残基のペプチド(ペプシン:Lys-Tyr-Thr-Phe-、Thr-Val-Lys-Thr-Trp-Val、Ala-Val-Thr,トリプシン:Tyr-Thr-Phe,Thr-Trp-Val,Thr-Val-Lys)が質量分析及びアミノ酸シークエンスの結果明らかになった。この中でACE活性を有するものは3種類程度のものにしか活性がなかった。現在、この消化物のペプチドについても13残基のものと同様にキノコ類の各種調理方法による発現、消長についてHPLCにてさらに検討中である。 マイタケに含まれる動物細胞の脂肪細胞分化を抑制する活性を指標として、マイタケの水抽出液に関して検討した結果、熱に不安定でLC-MS分析から質量2000前後の分化抑制物質を単離した。この精製物質は分化を抑制し、グルセル-3-リン酸脱水酵素の上昇と合わせて、脂肪分化細胞のレプチンの分泌量にも影響を与えることが明らかになった。 食品未利用廃棄物に関しては、コンニャク飛粉に含まれる血圧上昇抑制物質の単離には至らなかったが、各種の多糖類を混合した食物繊維含有の米様食品を試作し、レオメーター、官能検査を実施した。切断強度は米とほぼ同様のものが作製出来たが、人の食感的には十分ではなかった。飛粉の各種糖質分解酵素の処理による改変も実施したところ、わずかに処理溶液に還元糖の上昇が認められた。
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