研究概要 |
縄文土器片に付着する漆片を採取し,炭素14年代法における典型的な前処理法である酸・アルカリ・酸法を適用した。付着する汚染物質はほとんど観測されず,漆が炭素14年代測定に有用な試料であることが分かった。ただし,漆片内部に包含される汚染物質の除去については検討の余地が残る。漆に含まれる炭素量は重量比にしておよそ65%前後であり,1mg程度のグラファイトカーボンを必要とするAMS法では,2mg程度の試料量で充分であることが分かった。 前処理,調製を行った試料の年代測定は,一部を名古屋大学などに依頼した。今後採取年の明らかな漆試料を測定することで,炭素14年代の精度について検討する予定である。
|