研究概要 |
本年度は、はじめに,内外で行われてきている粒子概念の理解にかかわる調査研究の成果をまとめた。その際,日本における調査研究については,論文で把握できない調査状況の詳細についての情報収集を行った。 次に,子ども達が日常的に遭遇しうるいくつかの典型的な現象と,理科授業の中で標準的に取り上げられる現象とを整理し,調査で取り上げる15種類の現象を選定した(本研究では,小学校入学前の子どもたちが調査対象に含まれることになるため,現象の選定においては,蒸発,結露,沸騰などの三態変化にかかわるものや,燃焼,腐食などの化学変化にかかわるものの中から,低年齢の子どもたちにも馴染みがあるものになるよう留意した)。そして,これら15種類の現象について,次年度の本調査の際に使用するための写真画像(物質の変化前と変化後を示す2枚一組の写真)を作成・準備した。 最後に,15種類の現象にかかわる調査の具体的な内容と方法を決定するため,5名の大学生を対象とした予備的調査を行い,その結果に基づき,次年度に実施する個別面接調査の内容と方法を決定した。具体的には,はじめに,個々の現象が既知であるか否か,既知であるならばどこで目にしたかについて問う。そして,現象相互の共通性に注目させながら,15種類の現象を任意の数のグループに分類させ,それぞれのグループにグループ名を付加させるとともに,グループを構成する現象の共通性を言語的に説明させ,変化を分節化する際にいかなる視点が利用されるのかを明らかにする。
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