研究概要 |
インターネットの基本機能の一つである経路の選択の仕組みを効果的に学習させることを目的に,初心者向けのシミュレーション型ソフトウェア教材を作成した。この教材は,パケットを任意のコンピュータに転送する過程や,ルーティングテーブルの経路情報,パケットの情報等を学習者が観察・設定する実習を支援する。さらに,パケットを次のルータに転送するための処理を具体的に把握させるため,学習者自身がルータ内のゲートを手動で開閉操作できる機能で構成した。この教材の各部の機能は以下の通りである。 1.シミュレータ部:ルータ内でのパケットの処理の仕組みを模式的に表示する。 2.ルート表示部:パケットが通った経路の軌跡を表示する。 3.実行制御部:パケットの転送を「開始」するルータや,「目的地」となるルータを任意に設定できる。また,シミュレータの「実行」を制御する。 4.データ表示部:シミュレータ部で提示されたネットワークを介して転送されたデータを表示する。 この教材を次年度の評価実験に先立って試行した結果,以下のことが分かった。 1.本教材を使用することで,ネットワークの基本用語やその意味を学習者に把握させる効果があること。 2.本教材を用いた実習は,ルーティングテーブルやルータ内の処理の手順を学習者に具体的に把握させる効果があること。 今後は,多数の被験者を対象に教材の効果を定量的・定性的に検証し,それに基づいてシミュレータの改善を行う予定である。
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