本年度は、共分散構造分布による統計モデル構築のための基礎データとなる調査を昨年度と同じ方法で行い、分析結果の一部を文部省主催の情報処理教育研究集会および情報と教育に関する国際学会にて発表した。 データ収集は、大学1年生を対象とした情報リテラシー授業で行った。この授業は、150人の学生に対して教官3名が3教室で行うもので、入学直後の4月から9月の期間で行われる必修科目である。また、この授業では、授業期間の半ば(6月はじめ)に中間実技試験を行い、能力別クラス再編成を行っている。 調査は、授業開始時(4月半ば)、中間実技試験時(6月始め)、最終実技試験時(9月末)の3回実施した。授業開始時には、コンピュータ利用の過去経験およびコンピュータに対する意識に関して調査を行った。中間実技試験時には、それまでの授業内容(ログイン・ログアウトとかファイルシステムの操作など)に対する習熟度に関して、学生に自己評価を行わせた。最終実技試験時には、中間実技試験時の内容とそれ以降に学習した内容に関して、中間実技試験時と同様に自己評価を行わせ、さらにコンピュータに対する意識についても調査した。この一連の調査はすべて記名式で行い、それぞれの調査で学生が特定できるようにした。 この調査によって、学生の入学以前の過去経験とコンピュータに対する意識、授業が進行するにつれての習熟度の変化、習熟度自己評価点と実技試験の結果との相関など、モデル構築行うために必要なデータが得られた。ただし、妥当性のある構造の安定したモデルを得るためには本年度のデータだけでは数が少ないことが分かった。 そこで本年度は、モデルを構築するための基礎的な分析をするにとどめ、現在、昨年度のデータを加えて、統計モデルを構築するための分析を続けている。
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