研究概要 |
本年度は、計算機上に「外化」支援環境を実現するため、まず、「外化」が実際の説明の中でどのように行われているか、データを収集することから始めた。そこで「外化」を行っている過程の発話プロトコルの収集を行った。そして、収集した事例を基に、「外化」のメカニズムについてのモデルを作成した。 我々の得た資料から,「外化」には対象作業を構成しているさまざまな、下位の作業の透明性が重要であることが分かった。我々は、外化の支援にとって「認知的な見通し」の良さが必要であることが分かった。ただし、「認知的な見通し」は作業の認知的な負荷を一方的に減らすことを目的にしているのではない。学習の支援のような場合、学習そのものに関わる負荷を軽減することはできないが、その他のソフトウェアの操作性等に関する負荷は軽減する必要があることが分かった。 「外化」に関する認知的な考察を進める一方、システム開発も平行して進めた。「外化」のモデル化が終わった段階で、「外化」の支援方法について検討した。我々が対象とする演習問題の解法過程の説明を図示する方法について検討し、本年度はシステムの設計を進め、実際のシステムの開発が行えるよう準備を完了する。次年度以降、整備した計算機等で試作システムの開発を行う。また、この計算機は、認知実験の結果の収集・処理や統計的な分析のためにも用いる。 なお、研究途中であっても得られた成果は、人口知能学会の研究会や電子情報通信学会の論文(採録決定)として公開した。
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