本研究では、大学教員が日常の教育活動を簡潔にまとめ、コンピュータで情報管理することを通して授業の自己改善に結びつける方法を開発することを目的としている。そして、その情報を第3者で共有可能なTeaching Portfolioの制作支援するシステムの開発を目指している。今年度は、実際の授業(3種4授業)について作成を試みた。非常勤講師依頼とシラバス作成から、毎回の授業の準備と評価、最後の成績評価までの活動を記録にとり、関連資料をデータベース(ファイルメーカPro)で管理し、整理した。なお、ノートパソコンと小型スキャナ、デジタルカメラを常に携帯し、授業直後のできるだけ早い時期に、授業者の所見など主観評価を入力した。これらの作業は、昨年開発したデータベース構造によりかなり省力化された。 昨年度に課題として残っていた実習形式の授業における個別の指導内容を記録するために、学生自身が受けた指導内容をラーニング・ポートフォリオとして記入させ、授業者の指導記録とする方法を試行した。授業後の学生レポートにより、このラーニング・ポートフォリオは学生自身にとっても実習内容を振り返る資料となり、実習・演習型の授業において有効であることがわかった。 授業毎に異なる教材やメディア活用の効果について、毎回の授業評価調査アンケート(教授・学習評価支援システム)の結果と本ポートフォリオへの記録により関連を振り返ることにより、教授法の工夫の効果と具体的な改善点が見いだせることがわかった。 これらの研究成果は、4つの大学のFD(ファカルティ・ディベロップメント)講座での講演・研究会で高い関心を受け、その効果への可能性について意見が多くだされた。
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