本年度は、教員養成教育における総合的な学習に関して、わが国の教員養成系学部・大学のカリキュラムにおける教職的教養教育の位置づけについて資料収集し、分析を行った。また、わが国の総合的な学習にとって非常に参考となるイギリスのクロス・カリキュラムこついて、ロンドン大学キングスカレッジやキール大学、レスター大学における教員養成カリキュラム(Psot Graduate Certificate in Education)について資料収集し、分析を行った。その結果、次のようなことが明らかとなった。 ・わが国では、大学における研究レベルでは、その成果が多く見られるが、養成教育段階においては、その指導法等がまだ模索の段階であること。 ・イギリスの養成教育の場合、教科のカリキュラムにおいて総合的な学習が取り扱われていること。 一方、総合的な学習の諸問題に関しては、パイロットケースとして実践が試みられている広島大学附属福山中・高等学校と北海道教育大学教育学部附属函館中学校の研究紀要を分析し、担当者へインタビューを行った。また、イギリスにおけるクロス・カリキュラムの理念や実践例を分析した。その結果、次のようなことが明らかとなった。 ・学校に基礎をおくカリキュラムデザイン(school-based curriculum design/development)の視点から、「総合的な学習の時間」をカリキュラム上に位置づけることが重要である。 ・「総合的な学習の時間」を計画立案し、実施するには、教師の意識改革に基づく教師集団の形成と協働が重要である。 ・そのためには、養成教育段階からその準備が行われるべきであること。
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