本研究は、日本語教育におけるインターネット活用の効果・可能性を明らかにする第一歩として、日本の大学の留学生を対象とした日本語教育の現場にコンピュータ・ネットワークを導入した場合、(1)どのような日本語の学習環境を創り出すことができるのか、(2)実際にどのように学習者の日本語能力の発達を促進するのかについて、実証的データに基づいて明らかにすることを目的とする。教育目標、カリキュラム、教材、教育方法、生徒と教師の対話過程、評価方法、学習過程・成果など全体的な学校文脈を視野に入れてデータの収集・分析を行い、コンピュータ・ネットワークがもたらす様々な効果とその原因に関する状況的学習の仮説モデルを構築することを目指す。 本年度は、以下の活動を行った。 1.国内外のコンピュータ・ネットワークを用いた教育・学習の文献を収集し、コンピュータ・ネットワークの効果に関する理論的考察を行った。 2.留学生の日本語能力評価のための標準テストを作成する準備として、海外の言語テストを収集・分析した。 3.国内の大学の留学生225名に対して質問紙調査を行い、留学生の日本語能力と学習環境に関して社会心理学的な方法を用いて検討した。 4.大学の日本語クラスの参与観察を行い、教育目標、カリキュラム、教材、教育方法、生徒と教師の対話過程、評価方法などに関して予備調査を行った。 5.大学の日本語クラスの担当教官と打ち合わせを行い、今後の本調査の進め方について検討した。
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