研究概要 |
二段階法の実用化でしばしば問題となるオーバーサンプリングについて、必要な標本数を大幅に削減する計画定数の選び方が存在することを論文1で示した。初期標本数の増加率にある条件を課せば、漸近的な意味で二段階法の標本数をさらに削減することが可能であることも証明した(投稿中a)。さらに、多段階理論の第一人者N.Mukhopadhyay教授(Connecticut大学,U.S.A.)との意見交換により、複数個の多変量正規母集団の平均の線形結合に関する推測への応用が考えられ、各母集団の初期標本数に同様の条件を課して危険関数の展開式を与え、二段階法の標本数を削減する計画定数の展開公式を導出することに成功した(投稿中b)。得られた計画定数の展開公式を用いれば、互いに相関をもつ平均成分に関する多重比較を複数個の母集団間で同時に行う問題に対しても、2次の漸近有効な解を与えることが可能であることを論文4の補題を使って証明した(投稿中c)。これは、熊本大学との意見交換で完成した論文3の結果をも含む一般解を与える。 固定された大きさの楕円型信頼領域を非正規分布のもとで構築するために、ホテリング型統計量の二段階標本抽出における分布を漸近展開式で与えた。これにより、多変量正規分布よりも裾の重い分布には、追加標本の大きさが初期標本数の半分以下に計画されるとき、二段階法は頑健性をもつことが広島大学との意見交換によって証明され、その際に、論文6における数値実験の中で発見した二段階法の超有効性という現象について、理論的解釈を与えることにも成功した(投稿中d)。 二段階法の応用として、母集団分類と選択の問題に対して、論文2と5において最適解が与えられた。
|