研究概要 |
本年度は,異機種環境においても各計算機の性能を最大限に利用するモーバイルオブジェクト実行システムの設計を行った. ・動的双方向変換の実現 異機種環境において,オブジェクト移動時にオブジェクトを正準表現形式を用いて記述することにより,各計算機アーキテクチャの違いを吸収することができる.一方,オブジェクト実行時は,計算機性能を最大限に利用することができるネイティブ表現を用いることが望ましい.本年度は,正準表現とネイティブ表現の間を双方向に変換する技術を実現した.モーバイルオブジェクトに含まれるプログラムコード,データ,計算状態のそれぞれに対して変換を行う.また,新しい計算機アーキテクチャや正準表現に柔軟に対応するために,用いる正準表現を動的に選択する機構を実現した. ・双方向変換可能な正準表現形式の設計 動的双方向変換に使用する正準表現形式に関する検討を行った.本年度は,オブジェクトに含まれるプログラムコード,データ,計算状態のそれぞれに双方向変換が可能な正準表現の条件ついての検討を行い,6つの条件を定義した. ・プロトタイプシステムの実装 上述した条件を満たす正準表現形式を用いて,動的双方向変換に基づいたモーバイルオブジェクト実行システムのプロトタイプを実装した.実装環境は,オペレーティングシステムのサービスおよびインターフェースが同一で計算機アーキテクチャのみが異なる環境を用いた.本研究費で購入した計算機をLAN環境に接続し,プロトタイプシステムの動作テストを行い,動的双方向変換の有効性を検証した.
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