研究代表者はMBCFを含む中粒度の遠隔メモリアクセス機構を持つ並列実効環境のための、共有メモリベースのプログラムに対する最適化コンパイラRCOP(Remote Communiction OPtimizer)を開発中である。RCOPの入力プログラムは共有メモリ並列プログラム記述用のマクロライブラリPARCMACSで拡張されたC言語で書かれている。RCOPは研究代表者が考案したADSM(Asymmetric Distributed Shared Memory)とUDSM(User-level Distributed Shared Memory)と呼ばれる二つの分散共有メモリ方式をサポートしている。RCOPは共有メモリ並列プログラムを解析し、ADSM/UDSM用のキャッシュコンシステンシ管理コードを含んだC言語プログラムに変換する。出力されたC言語プログラムはgcc2.7.2(最適化レベルO2)でコンパイルされ、ADSMランタイムライブラリとリンクされて、最終的な実行コードが生成される。 平成11年度にはワークステーションを購入し、そのマシン上でRCOPを使用しながら、UDSM用最適化の作成、コード解析機能の向上等の研究を行った。平成10年度までのRCOPはADSMに関しては最適化を自動でサポートしていたが、UDSM用コードの生成に関しては共有メモリの読み出しコードの最適化のためのユーザの編集作業が必要であった。今年度の機能強化により、UDSMに関しても最適化を自動で行うことが可能になった。アプリケーションプログラムを使って、この自動最適化の効果ならびに、UDSMとADSMの特性調査および性能比較がなされた。
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