1.従来より研究を進めているTRIP2a/3Dシステムにおける視覚化の過程で生成されるVSR(Visual Structure Representation)の静的な視覚化を行った。具体的には、VSRを構成する図形と制約とがグラフ構造のノードとなる無向グラフデータであるとみなし、各制約とその制約の対象となっている図形との間にエッジがあるとした。そして、このグラフデータをグラフレイアウトアルゴリズムの一つである鎌田らのばねモデルに基づくアルゴリズムの3次元版を実装することによって視覚化した。具体的には、制約は立方体、図形は球として表現し、それらの種類を色の違いとして表現した。これによっていくつかの制約グラフを視覚化してみたところ、以下が観察できた。(1)比較的小さい制約系であれば、視覚化の結果は元の制約系やその意図を知ることで理解可能であるが、視覚化結果だけではそれを理解することは難しい。(2)グラフが大きくなるにつれて、視覚化結果のグラフをブラウズすることが困難になるため、余計に制約系の理解は困難になる。 2.制約系の動的視覚的に関しても1.と同様にTRIP2a/3DシステムのVSR制約系を対象とすることとした。動的視覚化の場合には、基本的には、その制約系の制約を満たす図を表示することによって、間接的に制約を表現する。制約のかかっていない図形には自由度があり、それによってユーザは制約を理解することができると考えられる。そのためには、制約系が完全でなくとも、制約系内の制約を満たすような解を出すことが必要である。そこで、細部によるHiriseという制約処理系を用い、VSRを視覚化するプロトタイプシステムを作成した。このシステムにより実際に様々なVSRが、制約系の不完全な物を含めて視覚化することができた。今後はこの不完全な制約系における自由度をアニメーションとして表現する部分を完成させ、制約系のデバッグ支援系へと発展させる予定である。
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