研究概要 |
本研究は,パターン光投影法をもとにして,変化のあるシーンへの対応も考慮した動的パターン投影法という新しい三次元シーン計測法を開発し,その原理的な実用性を検証することを目的としている.本研究では,CCDビデオカメラと液晶ビデオプロジェクタを垂直に配置し,それらとホストマシンを接続した計測システムを開発した.システムにおいて,投影パターンはプログラムで制御されており,随時変更できる.これまでに,カメラとプロジェクタの焦点深度およびそれらの位置関係から得られるエピポーラ拘束条件を利用して,一枚の画像から多くの三次元データを得るような計測アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムでは,STRIPEと呼ばれる水平なスリット光を一度に多数同定するために,それらに交差するエピポーラ線に沿ったSPIKEと呼ばれる短い線分を用いる.できるだけ多くのSPIKEをそれらの像が画像上でお互いに重ならないように投影し,STRIPEとともに投影することによって,画像にとらえられたSPIKEの像のそれぞれを一意に同定し,また同時にそれらと交差するSTRIPEの像を一度に同定することができる.また同定の結果を利用して,さらに多くのSTRIPEが同定できるようにSPIKEを再配置するようにしている. また今年度は,他のアルゴリズムをシステムに容易に組み込めるようにするために,システムプログラムの改良を行った.現在,「投影パターンの初期化」,「パターンの抽出」,「パターン同定」,「パターン修正」,および「三次元形状の計算」の一連のモジュールをプログラムに追加することで新しいアルゴリズムをシステムに導入することが可能になっており,パターン投影法でよく利用される一本のスリット光をスキャンさせる計測アルゴリズムを実装した.これにより,原理的には,現在のシステムの枠組みの範囲であらゆるパターン投影法をシミュレートすることが可能になり,さまざまなアルゴリズムを適応的に切り換えながら計測を行うことができる柔軟なシステムへと発展させることが期待できる.
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