本研究では、並行処理プログラムのためのテストケース生成技法の有効性の検証、および、テストケースを自動的に生成するツールの開発を行なう。今年度は、テストケースの作成について基礎的研究を行なった。具体的には、テスト基準とテストケース作成の関係付けに関して、以下のことを行なった。 1.本研究の特色の一つとして、テストケースを生成する前に、テストの終了条件であるテスト基準を明確に設定する。このためテスト基準を変更すると、生成しなければならないテストケースも変わる。そこで、さまざまなテスト基準を用いた場合に、発見できる被テストプログラム中の誤りと、テストケース生成の複雑さとについてそれぞれ調査し、テスト基準とテストケースの関係を明らかにした。 2.上記の調査結果に基づいて、並行処理プログラム内の相互作用に着目し、それらを順序列として捉えることにより、並行処理プログラムのための新たなテスト基準である、相互作用列テスト基準(Interaction Sequences Testing Crieteria(ISTC))を提案した。また併せて、この相互作用列テスト基準と発見できるプログラム中の誤りとについて、関係を明らかにした。 3.既に提案している並行処理プログラムの動作を把握するためのモデルである、事象相互作用グラフを用いて、このモデル上で、提案した相互作用列テスト基準を満足するテストケースを生成するためのアルゴリズムを考案した。また併せて、この生成アルゴリズムの複雑さを明らかにした。 4.上記の2.3.について、APSEC'99で発表した。
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