研究概要 |
本研究は,応用の多様化に伴って,OSやミドルウェアの可変にオブジェクト指向モデルに基づいたOS構成ツールであるOSビルダの研究を目的としている.これらのビルダ環境は,OSの教育環境にも適用できる. 本年度は,モジュール化方式の検討と設計,および開発環境に関する研究を行った.ベースはマイクロカーネルを用いて,従来のOSモジュールに相当する部分を,ミドルウェアとして実装する.ミドルウェアについては,プロセスサーバだけではなく,密なモジュール結合も選択できる動的なモジュール結合環境を提供する. 本研究の応用例としては,PDAを指向したOSおよびミドルウェアや,教育環境がある.前者については,ミドルウェアをターゲットとして,モジュール化方式として,システムを次の三つのモジュールに分類することを方針として,これらのクラスを設計した:(1)キャプチャモジュール,(2)アレンジモジュール,(3)パブリッシュモジュールの三つである.キャプチャモジュールでは,データをすべて取り込み,オブジェクトとして取り込むモジュール群である.アレンジモジュールは,これらのオブジェクト間の変換により,データ内の属性を抽出したり,別の表現形式へ変換するモジュール群である.さらに,パブリッシュモジュールでは,これらのデータを外部に表示したり,再度キャプチャするためのモジュール群である. このようなデータドリブンな環境を設計し,データに対するオブジェクトを定義,生成することでOS全体を構築する手法を提案した. 後者については,可視化環境を取り込んだクラス階層に関する設計を行った.これらは,OS教育のための可視化環境,および,リアルタイムシステム学習のための自走ロボットに用いるための基本設計を行った. また,開発環境については,デバッグ方式について考察および実現を行った.このようなOSビルダ環境では,実行時にモジュールの動的な結合が多く行われている.そこで,動的結合時にスタブを自動挿入することで,モジュールが実行するコンテキストや,メモリの使用状態を監視することで,メモリリークを捕らえることが可能になる. これらの設計および,開発環境を整えることで,OSビルダを作るためのベースが利用可能になった.
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