研究概要 |
平成11年度においては,主に転写因子結合因子の相互作用の辞書化を主眼におき研究を行なった。 1.文献検索では,医学生物学文献抄録データベースMEDLINE上で(A)(ヒトまたは脊椎動物)かつ(転写因子)かつ(タンパク相互作用)かつ(雑誌),(B)(転写因子)かつ(TAF),(C)(転写因子)かつ(TBP),そして一般学術雑誌のreview記事中の引用文献をもとに2165文献を得た。 2.文献内でタンパク質名などの専門用語を我々によって既開発のパーザによって特定し,後の入力作業を効率化した。 3.文献内から,(a)相互作用の関係、(b)作用物質A,(c)作用物質B,(d)相互作用後の複合体名,(e)実験細胞名,(f)生物種,(g)その他コメントというフレームスロットからなるファクトを収集するためのwwwベースの入力インタフェースを作成した。 4.上記2165文献から実際にファクトを抽出した。 5.抽出したファクトを確認するために,ファクトのそれぞれに対応する関係図を作成した。 現在次年度の相互作用推論パーザのための検討を行っているが、指示語から得られる入れ子構造の知識の扱いや文脈情報をどのように簡潔に表現するかも検討し,これまでの研究にフィードバックを行いつつある。 同時にマイクロアレイを用いた研究も行い,癌患者の細胞の遺伝子発現パタンなどの解析を行ってきた。薬剤が患者に依存して効果があるかないかによって適切な治療方法を適用するのが目的であるが,遺伝子の転写発現を支えている。それをさらに支えるものがヒトの遺伝子多型(とくにSNPs)である。次年度はこれらの情報を組み合わせることによって研究を進めることを予定している。
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