研究概要 |
本年度では,以下のような諸点について,昨年度までの成果による手法で得られた3次元空間におけるエッジ線分の位置と姿勢から,3次元空間における領域を求める方法を提案した.また,本手法に関して人間による評価実験を行い,その有効性を示した. 1.シーン中における領域の3次元的な位置と姿勢を求めるために,領域を構成する構造的な要素である稜と頂点について,「2次元画像面上におけるエッジ線分とコーナー点」および「時空間画像中におけるエッジ面と交線」との関係を解析した.これらの関係から,シーン中おける稜と頂点により構成されるグラフを求め,グラフから平面を構成するような部分的な関係を見つけることにより,領域を抽出する手法を提案した. 2.椅子を対象として,時空間画像から椅子を構成する平面を抽出し,それらの構造関係を記述し,3次元物体認識の可能性について考察した.この結果,面により構成されるモデルとの構造的なマッチングを用いる認識システムの実現の可能性が示された. 3.人間によるエッジ検出の結果を作成し,これをもとに各エッジ検出手法のパラメータを最適化し,さらに人間による2点比較法を行いエッジ検出手法の検出結果に対する比較評価を行った.この評価結果は,直接的に3次元の奥行き推定の正確さを表していると考えられる.結果として,本手法で提案した3次元エッジベクトル抽出器の元となる手法が比較的良いという評価結果が得られた.
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