本研究では、特定のタスクを対象とした小規模なタグ付き対話コーパスと、汎用的言語資源や抽象的タスクモデルを組み合わせて、音声対話システムの構築に必要な解析規則(特に意味解析・対話処理における規則)を、機械学習によって獲得する手法の開発を目的とした。昨年度は意味解析規則を機械学習によって獲得する手法を開発した。本年度は対話処理規則の獲得に関して以下の成果を得た。 1.学習による談話行為解析規則の獲得 変形に基づく学習(Transformation-Based Learning)を用いて、談話行為を同定する規則を学習するプログラムを作成した。同定に利用する特徴としては、発話中の単語・直前の談話行為・単語数を用いた。道案内タスクでは学習に用いたデータによる評価で正解率85.1%、学習に用いなかったデータによる評価で72.6%が得られた。また、自動車のトラブルシューティングタスクではそれぞれ90.2%、66.7%が得られた。 2.学習による談話セグメント解析規則の獲得 決定木学習を用いて、談話セグメントの切目(Topic Break Index:TBI)を同定する規則を学習するプログラムを作成した。同定に利用する特徴としては、直前および現在のやりとり構造のTBI、直前および現在のやりとり構造の働き掛けタイプの談話行為、応答タイプの談話行為を用いた。道案内タスクでは学習に用いたデータによる評価で正解率84.1%、学習に用いなかったデータによる評価で73.8%が得られた。また、自動車のトラブルシューティングタスクではそれぞれ90.0%、85.2%が得られた。
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