研究概要 |
本年度は,ハイパー空間において学習者が探究した学習項目(ノード)および項目間の関係を,学習者が得た知識構造とみなし,学習履歴から探究ノード間の関係を視覚的に表示するユーザインタフェイスを開発した。本研究では,この関係構造表現を知識マップとよぶ。通常,ハイパー空間では,あるノードから次のノードに移る際に,局所的「なぜ訪れるのか」といった探究の目標が立てられる.ハイパー空間において学習者が積み上げる知識構造は,この探究目標に大きな影響を受けると考えられる.そこで,本研究では,探究目標が立られたノード(始点ノード)からその目標が達成されるノード(終点ノード)までの過程を基本探究プロセスと呼び,学習者の学習過程を複数の基本探究プロセスから構成されるものとしてモデル化した.このモデルに基づいて,本インタフェイスでは,知識マップを表現するために,まず探究中に学習履歴に対して探究目標の入力を学習者に促し,基本探究プロセスが分かるように学習履歴を表示する機能を実現した.また,探究目標ごとに探究ノード間の関係を分かりやすく視覚化する図的表現を用意して,学習履歴から知識マップに変換する機能を実現した.本インタフェイスでは,このように基本探究プロセスを明示することによって学習者による学習をより構成的なものにするとともに,知識マップを生成することで探究中に積み上げた知識構造への再考を促すことを可能にしている.これらの研究成果については,国内の関連学会で発表するとともに,国際会議や国際的な雑誌で公表した.
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