研究概要 |
本年度は,次のことを行った. 1.係り受け情報と統計情報を融合した情報検索システムの性能評価 2.分散環境で協調的に仕事を行うエージェントの概念に基づいたWWW検索システムの拡張 3.情報処理教育システムの利用を促すためのツールの試作 ??では,昨年度提案していた係り受け情報を利用した情報検索システムの改良を行った.係り受け情報は,現時点で,機械的に利用可能な最も知的な情報の一つである.しかし,検索要求文中の係り受け情報全てを用いる方法では,その制限が強すぎるため,情報抽出の取りこぼしが多く発生し,結果的に検索精度を落すことが問題であった.そのため,与えられた文書中から必要な情報を抽出するのにどのような係り受け情報が有効となるか,また,その時の重みの与え方をどうすべきかが重要である.本研究では,係り受けペアの重み(重要度)を,そのペアの検索対象文書中に出現する統計情報を利用して与える方法を取った.このように係り受け情報と統計情報を融合させることにより,本研究の係り受け情報を利用した抽出精度の高さを保ちつつ,情報の取りこぼしを抑えることができるようになった. ??では,昨年提案していたWWW上の検索システムを構築する上での新しいモデルとその構築方法を,分散環境に敵するように発展させたものを提案し,そのシステムの試作を行った.また,ユーザの個人情報(プロファイル)に基づいて,情報のフィルタリングや探索を行うための方式を開発した.更に,分散環境で自律的に動作するプログラム(エージェント)を構築するためのモデルを開発し,各エージェントどうしが協調的に仕事を行う上で必要となるエージェントの対話用言語とその解釈を行う仕組みを開発した.これにより,それぞれのエージェントへ命令を与えること,更には,エージェントどうしで必要な情報交換を行うことを可能にすることができた.開発した仕組みについては,国際学会で発表する予定である. ??では,共同研究者と,講議運営に必要となるルーチンワークを支援するためのシステムの開発を行った.これにより,出席やレポートの提出の自動化,アンケート調査の実施,Web上での個人的な教師への質問回答,クラス内での公開された質問回答などを行うことができるようになり,対話システム構築に関する知見を得た.これについては,国際学会(ICCE99)で発表した.また,電子メールによる質問に対する自動応答を行うシステムの試作を行った.
|