研究概要 |
本研究では,力学の問題に対する学習者の誤った立式を挙動シミュレーションに反映させることにより,式中の誤りを挙動の誤りとして学習者に直観的に認識可能な形で提示する手法を開発している.本年度においては,学習者の立てた誤った式を用いて,速度あるいは加速度を求め,そこで求められた速度あるいは加速度を用いてオブジェクトを挙動させることにより,誤りを反映した挙動シミュレーションを生成する機能を実現した.さらに,この挙動が必ずしも学習者にとって直観的にわかりやすいものであるとは限らないために,生成される挙動が,正しい挙動との間に十分大きな差異が存在するかどうかを診断する機能を実現した.本研究では,この機能を定性推論の技法を用いて実現する予定である.Kuipersらによって提案されている定性シミュレーションを用いることにより,誤りを反映した挙動および正しい挙動の定性的な性質を予測している.この予測において速度および加速度で定性差が発見されれば,誤りを反映した挙動は誤りを可視化できると判断している.
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