研究概要 |
インターネットの発達とWWWの出現で個人レベルの情報の発信が可能となった.地図情報処理の分野でも,従来は国家機関あるいは地図メーカーだけが地図データを提供してきたが,インターネットを介して個人が地図上の付加データを発信し,多くの利用者により共有できる枠組みが整備されつつある.これらの個人レベルや地図メーカーの地図データをもとに,利用者が個人の目的に応じた個人向け地図を作成する枠組みが必要である.個人向け地図の仕上がりは,地図職人が作るほどの完璧さは必要無いが,簡単に作成でき,出来上がった個人用の地図は読みにくかったり,誤って情報を読み取ったりする(誤読する)ような表示は避けなければならない.本研究では,地図の自動合成における不適切な部分の検出,さらに,より読みやすい地図にするための支援ツールの方法論を確立し,実際に支援ツールの開発を行うことにより,この方法論の有効性を検証する. 本年度は,地理データベースから検索された結果を地図として視覚化する際の1つの問題である表示情報量の制御に関して研究を行った.我々は,文字図形の画面中の量を,文字図形が不適切に配置されている度合いとして定義し,これを「圧力」と呼んだ.この圧力が大きすぎると表示情報量が多すぎる事を意味し,逆に少なすぎると表示情報量が足りなさすぎることになる.その他の制御量として,「縮尺」と「表示レベル」を定義し,合計3つの制御量のうち1つを固定することにより,地図の拡大・縮小・スクロール操作,情報の追加,削除などに対して適切な表示情報量を提供するシステムの枠組みを作り,またJavaを使ってプロトタイプシステムを構築した.
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