研究実施計画に基づき、今年度は以下の方法で試作システムを構築し、新たな知見と成果を得た。 1 試作システム全体の設計 顔画像をシステムに入力し形成特徴を用いて人物認識別解析を行うまでの一連のシステムの設計を行った。 2 顔面画像入力装置の製作 フォトメトリックステレオ法に基づいて顔面3次元形状計測を行うために、3光源とビデオカメラを用いた顔面画像撮影装置と、ビデオボードとワークステーションを用いた顔面像入力装置を構築した。 3 顔画像から人物識別特徴データを算出するまでの前処理部の構築 (1) 画像からの雑音除去プログラム(2)顔領域抽出プログラム(3)フォトメトリックステレオ法に基づく3次元空間上での顔面各点における法線計算プログラム(4)法線データを用いた平均曲率とガウス曲率計算プログラムを作成し、人物識別の基礎となるデータを算出する一連のシステムを構築した。 4 解剖学的知識を用いた特徴テンプレート抽出部の構築 解剖学的知識により、顔面領域を動きが大きい部分と小さい部分に分け、動きが小さい部分(鼻周辺部と眉間周辺部)を顔面像から切り出し、この領域上における各点の曲率を特徴テンプレートとして抽出するプログラムを作成した。このテンプレートを用いることで、表情変化によらない人物識別が可能となる。 今後は、特徴テンプレートを用いた人物識別方法を確立し、表情変化を多数の被写体に対して実験および検証を行い、さらには、現実社会に役立つ応用システムの具体的な要求仕様を決定する予定である。
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